本記事の対象者
プロテインを飲むタイミングについて悩んでいる方、効果的なタイミングについて科学的なエビデンスが気になる方。
プロテインを飲むタイミングについて悩んでいる方、効果的なタイミングについて科学的なエビデンスが気になる方。
本記事では、プロテインの摂取タイミングに関する2013年のメタアナリシスを紹介します。
※ メタアナリシスとは、複数の研究の結果を統合し、より高い見地から分析した最も質の高い根拠とされるものです(Wikipediaより)。
筆者の紹介
- 東京工業大学アメフト部出身。その後アメフト部のコーチに就任。
- IT系のエンジニアを集めたエンジニア筋トレ部を設立。
- エンジニア健康サミットを定期開催。
メタアナリシスの紹介
2013年にBrad Jon Schoenfeldらによって発表されたメタアナリシス1について、紹介します。
このメタアナリシスで解析された研究の平均PEDroスコアは8.7で、質の高いRCTが対象となっています。
目的
この調査では、以下の2つを検証することを目的としています。
- タンパク質の摂取タイミングは筋肥大に影響するか
- タンパク質の摂取タイミングは筋力に影響するか
方法
摂取タイミングによるグループ分けの定義
- 運動前後1時間以内に6g以上の必須アミノ酸を摂取したグループ(treatment group)
- 運動前後2時間以内にプロテインを摂取しなかったグループ(control group)
期間は6週間以上のもので、筋力と筋肥大について比較しました。
またその他、いくつかの研究に含まれていた、性別・体重・トレーニング経験・総タンパク質摂取量についても影響の大きさを比較できるように分析しました。
結果
タンパク質摂取タイミングの筋力への影響
タンパク質摂取タイミングの筋肥大への影響
上記は単純なプール分析を行った結果です。
タンパク質摂取タイミングが筋力に与える有意な効果はなく、筋肥大に関しては0.24 ± 0.10の小〜中程度の相関を示しました。
しかし、総タンパク質摂取量の影響を加味した拡大回帰分析(以下の図)では、筋肥大に関しても有意な効果は示されませんでした。
結果的に、「トレーニング直前直後にタンパク質を摂取することの効果は証明されませんでした。」
ただし、このレビューにはいくつかの懸念点があります。
- 摂取タイミングが対照研究毎に異なるので、2時間での区切りが適切ではない可能性
- 対象者の大部分が筋トレ初心者のため、経験者だと異なる結果になる可能性
- 総タンパク質摂取量を研究毎に統一できていない点
- 筋肉の断面積を指標にしている研究と除脂肪量を指標にしている研究が混ざっている点
大切なのは摂取するプロテインの総量
一方で、総タンパク質摂取量が筋肥大にとってかなり重要な因子であることが改めて分かりました(筋力には影響を与えませんでした)。
上限はあるものの、総タンパク質摂取量は0.5g/kg/日増加する毎に、筋肥大にとって0.2%の効果増でした。
まとめ
「ゴールデンタイムを逃すな」とよく言われますが、実は、こちらのレビューによると、ゴールデンタイムの時間や、筋トレ前後1時間以内にタンパク質を摂取することの利点は保証されていません。
一方で、データ量の少なさから今回のレビューには含まれていませんが、プロテインを一定時間内にまとめて摂るより、朝と晩に分けて摂った方が筋肉量が増加したという報告2があったりします。
現段階でこのレビューを通して言えることとしては以下の2点です。
- 総タンパク質摂取量はしっかりコントロールすべき
- 飲むタイミングは適度に分割して飲むのが良い(夜の間はプロテインを摂取できないので、筆者は朝と晩は飲んだ方が良いと考えています)
本記事の参考論文は以下につけておきます。
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ITエンジニア筋トレ部部長(@physique_engine)