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ダイエットの新常識。有酸素運動はNG?効率的に痩せるための筋トレメニュー

2020.07.05

本記事の対象者

ダイエットのために摂取カロリーを抑えている方。ダイエットのために有酸素運動を頑張っている方。
ダイエットをするためには摂取カロリーを抑えたり、有酸素運動をしなければいけないと思っていませんか?
実は最近の研究で、摂取カロリーを抑えたり有酸素運動のやりすぎが、ダイエットにとってあまり良くないということが分かってきています。
本記事では、そのような事例の紹介すると共に、実際に効果のあるトレーニングの紹介をしていこうと思います。

筆者の紹介

  • 東京工業大学アメフト部出身。その後アメフト部のコーチに就任。
  • IT系のエンジニアを集めたエンジニア筋トレ部を設立。
  • エンジニア健康サミットを定期開催。

ダイエットの難しさ

「肥満者が正常体重に到達する確率は0.6%程度である」というコホート研究1が2015年にイギリスの臨床実践研究データから発表されました。
研究によると、肥満者が正常体重に到達する確率は、女性で124人に1人男性の場合210人に1人だったそうです(イギリス人のデータ)。
このように大体はうまく行かないダイエットですが、ダイエットを難しくしている要因の一つにダイエットに関する誤った常識が蔓延していることがあります。
なので、本記事を通して、ダイエットに関する現段階における知識を広めていければと思っています。

飢餓モード(代謝適応)について

「飢餓モード(代謝適応)」という言葉を知っていますか。
摂取カロリーを制限することでエネルギー代謝率(RMR)が悪くなったり、過食になったりすることを言います。

1988年にアメリカで行われた研究2では、この飢餓モード(代謝適応)により、安静時のエネルギー代謝率(RMR)が悪くなることが、リバウンドの大きな原因であることが言われました。
また、1999年の代謝率に関するメタアナリシス3でも、元々肥満だった女性は、肥満になったことがない女性に比べ、安静時の代謝率が5.1%も低いことが判明しました。
さらに、1998年の研究4でも、食事制限したグループよりも筋トレによりカロリー消費をしたグループの方が体重減少の状態が維持されたという報告もされており、この安静時の代謝率の低下は、摂取カロリーを制限することによって起こると言われています。


Meta-analysis of resting metabolic rate in formerly obese subjects3より

有酸素運動のやりすぎがNGな理由

実は、この飢餓モード(代謝適応)、最近の研究で有酸素運動によっても発生することが分かってきました。
2007年に行われた研究5では、対象者にマラソンの練習をしてもらったところ、睡眠中の代謝率が低下したことが報告されていたり、2002年に行われた研究6でも、食事療法に比べて有酸素運動の体重減少の効果はあまり高くないことが報告されています。

なぜこのようなことが起こるかというと、UCP-3という筋肉の中に含まれているタンパク質が有酸素運動によって減少してしまうためです。
UCP-3は安静時の代謝率を向上させる効果があるため、減少することで代謝が落ちてしまいます。
UCP-3は速筋の中に多く含まれているため、筋トレをすることで増えるということも分かっています(これが筋力アップにより代謝が向上する所以です)。

有酸素運動のメリット

しかし、有酸素運動には、悪玉(LDL)コレステロールの値を下げてくれたり心肺機能を向上させるというようなメリットもあります。
ただ、これらのメリットはSIT(スプリント・インターバルト・レーニング)というトレーニングでも代替可能です。

おすすめのダイエット法 SIT(スプリント・インターバル・トレーニング)

SITとは、以下の3点を兼ね備えた大変優秀なトレーニングです。

  • 短時間で心肺機能を向上(5分で有酸素運動45に匹敵)
  • 有酸素運動で起きるような安静時の代謝率の低下が起きない
  • やった後数時間は脂肪が顕著に燃焼される

やり方は以下を繰り返すだけです。

  1. 30秒全力運動
  2. 2分30秒〜3分休憩
  3. 30秒全力運動

繰り返さなくても30秒全力運動を2回やれば心肺機能の改善には十分な効果7だと言われています。
全力運動のおすすめの種目はバーピージャンプです。
バーピージャンプは全身運動なので、インターバルトレーニングでよく使われます。



同様の運動にHIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)がありますが、SITの方が体重減少の効果が高いと言われています。また、HIITの方が休憩時間が短いためかなりキツイです。
また、SITは音楽を聞きながらやることで、パワーをより発揮できるだけでなく、楽しさも向上するといった報告もある8ため、是非楽しみながら挑戦してみてください。



本記事の参考論文は以下につけておきます。

その他ご質問やご指摘がありましたら、Twitterから随時受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
ITエンジニア筋トレ部部長(@physique_engine)


  1. Probability of an Obese Person Attaining Normal Body Weight: Cohort Study Using Electronic Health Records ↩︎

  2. Reduced Rate of Energy Expenditure as a Risk Factor for Body-Weight Gain ↩︎

  3. Meta-analysis of resting metabolic rate in formerly obese subjects ↩︎

  4. Long-term maintenance of weight loss: do people who lose weight through various weight loss methods use different behaviors to maintain their weight? ↩︎

  5. Long-term effect of physical activity on energy balance and body composition ↩︎

  6. Dose–response effect of walking exercise on weight loss. How much is enough? ↩︎

  7. Effect of Number of Sprints in an SIT Session on Change in V˙O2max: A Meta-analysis ↩︎

  8. Music enhances performance and perceived enjoyment of sprint interval exercise. ↩︎