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プロテインの効果的な飲み方・摂取量・タイミングを徹底解説。

2020.07.01

本記事の対象者

プロテインの効果的な摂取量が分からない方、プロテインの身体への影響が気になる方。
プロテインを買ったものの、「どのくらい飲めば効果的なんだろう?」「飲みすぎると身体に悪いんじゃないか」とお悩みではありませんか?
本記事では、これらの不安を様々なエビデンスを元に徹底解説します。

筆者の紹介

  • 東京工業大学アメフト部出身。その後アメフト部のコーチに就任。
  • IT系のエンジニアを集めたエンジニア筋トレ部を設立。
  • エンジニア健康サミットを定期開催。

プロテインの目的別摂取量

筋力アップ目的

筋力アップを目的とする場合は、「一日体重1kgあたり1.6 ~ 2.2g」のタンパク質を摂取するのが良いとされています。
これは2017年のMortonによるメタアナリシス1によるもので、結論をまとめると以下の通りです。

  • 筋力アップには「一日体重1kgあたり1.62g」のタンパク質を摂取で十分である
  • 筋力アップの効果を最大化したいなら「一日体重1kgあたり2.2g」のタンパク質を摂取した方がいいかもしれない

人それぞれ体質の違いがあるので、自分の体質に合わせて「一日体重1kgあたり1.6 ~ 2.2g」のタンパク質を摂取するようにすると良いでしょう。

例えば、体重が70kgの場合、「一日112g ~ 154g」のタンパク質を摂取する必要があります。

以下の図は、日本人のタンパク質摂取量の推移です。
20代は平均して一日約75gのタンパク質を摂取しているようです。

日本人のタンパク質摂取量の平均値の年次推移
厚労省の「国民健康・栄養調査」より

つまり、すでに平均的にタンパク質を摂取できている人であれば、残りの「37g ~ 79g」を追加で摂取する必要があります。
プロテインには1杯あたり20g程度のタンパク質が含まれているので、1日に「2 ~ 4杯」を目安に飲むとよいでしょう。

ダイエット目的

ダイエット目的の場合も高タンパク質の摂取(除脂肪体重1kgあたり2.2g)がおすすめです。

2008年のLeo Treyzonらの研究2によると、一日除脂肪体重1kgあたり1.1gのタンパク質を摂取したグループ(エネルギー換算 : タンパク質15% 脂肪30% 炭水化物55%)と2.2gのタンパク質を摂取したグループ(エネルギー換算 : タンパク質30% 脂肪30% 炭水化物40%)を比べると、どちらも食事制限により同じくらいの体重の減少がみられました。しかし2.2gのタンパク質を摂取したグループは1.1gのタンパク質を摂取したグループと比べて体脂肪率が著しく低くなっていたのです。

HP: 2.2gのタンパク質を摂取したグループ
SP: 1.1gのタンパク質を摂取したグループ
体重の違い 脂肪量の違い
体重(1つ目)と体脂肪(2つ目)の減少量を比較

ちなみに参加者は、この研究では30分の有酸素運動を目標にするようアドバイスが与えられていましたが、筋トレはししていませんでした。
上記は除脂肪体重1kgあたりのタンパク質摂取量なので、体重から脂肪を除いた体重になることに注意してください。
肥満な人であれば、体重1kgあたり1.2~1.5gが目安になってくると思います。
あとは、筋力アップ目的と同様にタンパク質の不足分を計算して、プロテインで補うようにしてみてください。

減量目的

ハードなトレーニングをしているアスリートが体脂肪を減らすためにはどれくらいの摂取量が好ましいのでしょうか。
ハードなトレーニングをしているアスリートは筋肉を減らさずに体脂肪を減らす必要があるため、より多くのタンパク質を摂取(体重1kgあたり3.4g)する必要があります。

2015年のJose Antonioによる報告3によると、ハードな筋トレをしている48人を対象とした実験では、一日体重1kgあたり2.3gを摂取したグループと3.4gを摂取したグループで比較したところ、どちらも同程度の筋肉量の増加にも関わらず、3.4g摂取したグループでは、体重・体脂肪率が著しく減少していたことが報告されています。

NP: 2.3gのタンパク質を摂取したグループ
HP: 3.4gのタンパク質を摂取したグループ
除脂肪体重の違い 体脂肪率の違い
除脂肪体重(1つ目)と体脂肪率(2つ目)の比較

プロテインを飲むタイミング

筋力アップ目的

筋力アップ目的の場合、トレーニングをする日であれば、起床後(20g)・トレーニング前(40g)・トレーニング後(40g)・就寝前(20g)のように、トレーニング前後に多めにプロテインを飲むようにすると効果的です。
2006年の研究4では、トレーニングの前後にプロテインを摂取した方が朝食と夕食事にプロテインを摂取したグループより筋力アップに効果的だったと発表されています。

また、筋トレ直後のゴールデンタイムにおける20gと40gのタンパク質の摂取をしたグループを比較した研究5では、40gのタンパク質を摂取したグループの方が20gのグループよりも10~15%程筋タンパク質の合成が高まったという結果が出ています。
20g~25gで十分な摂取量とされていた以前の研究では脚のみのトレーニングが対象とされており、全身トレーニングをした場合は40gまで摂取量を増やすことでさらに筋タンパク質合成量を増やすことができる可能性を示唆しています。
また、就寝中はプロテインを摂取することができないため、就寝前と起床後にプロテインを飲むのも効果的です。

以上を踏まえると、トレーニングする日であれば、起床後(20g)・トレーニング前(40g)・トレーニング後(40g)・就寝前(20g)で120gのタンパク質を摂取することが可能です。

一方で、トレーニングをしない日は、20gのタンパク質を3時間おきに摂取して、適量を適度なタイミングで摂取するのがおすすめです。
2013年の研究6で、40gのタンパク質を6時間毎に2回摂取したグループ20gのタンパク質を3時間毎に4回摂取したグループ10gのタンパク質を1.5時間毎に12回摂取したグループに分けて筋タンパク質の合成量を比べる実験が行われました。

プロテインの摂取タイミング

これは、筋トレ後の12時間の筋タンパク質の合成量を計測したものですが、結果は、20gのタンパク質を3時間毎に4回摂取したグループで筋タンパク質の合成量が最大化されました。

Bolus: 40gのタンパク質を6時間毎に2回摂取したグループ
Intermediate: 20gのタンパク質を3時間毎に4回摂取したグループ
Pulse: 10gのタンパク質を1.5時間毎に12回摂取したグループ
筋タンパク質合成への影響

この研究から、筋肉の回復期間では、適量を適度なタイミングでプロテインを摂取することが最も効果的だと考えられます。

ダイエット目的

また、ダイエットを目的とする場合は、夕食の摂取カロリーを抑えるために、夕食の45分前までに摂取すると効果的です。
以下の記事で詳しく解説しているので、確認してみてください。

プロテインを飲み過ぎたら身体に悪い?

腎機能に疾患がない場合は、特に問題になることはないと現在考えられています。

2000年の研究7で、肝臓に疾患を持っていないアスリートが、体重1kgあたり1.28g ~ 2.8gのタンパク質を1週間摂取したところ、腎機能に影響はなかったことが報告されています。

一方で、タンパク質を摂取する食材や腎臓に疾患を持っている人に関しては、問題が報告されています。



本記事の参考論文は以下につけておきます。
その他ご質問やご指摘がありましたら、Twitterから随時受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 ITエンジニア筋トレ部部長(@physique_engine)

  1. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults ↩︎

  2. A controlled trial of protein enrichment of meal replacements for weight reduction with retention of lean body mass ↩︎

  3. A high protein diet (3.4 g/kg/d) combined with a heavy resistance training program improves body composition in healthy trained men and women – a follow-up investigation ↩︎

  4. Effects of Supplement Timing and Resistance Exercise on Skeletal Muscle Hypertrophy ↩︎

  5. The response of muscle protein synthesis following whole‐body resistance exercise is greater following 40 g than 20 g of ingested whey protein ↩︎

  6. Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis ↩︎

  7. Do Regular High Protein Diets Have Potential Health Risks on Kidney Function in Athletes? ↩︎